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臨床とインターネットの接点㉒

Medical Tribune 2003年1月23日 24ページ ©鈴木吉彦 医学博士

MTインスペクションとMTサーチの活用①

MT紙の記事を効率的に探す

無料で最新号の記事が読める

広い視野から医療業界の最新・先端情報を集めるために役立つのが、メディカルトリビューン(MT)社のニュース記事です。広告代理店の人に聞くと、MT紙はわが国で最も広く医療業界関係者に読まれているタブロイド紙で、35年の歴史があり、その蓄積された情報には歴史的価値があります。しかし。これまでMT紙のニュース記事は、インターネットを使った場合、諸事情からMediproに会員登録しなければ読めませんでした。

ところが、昨年9月からMT社自身が運営する「MTインスペクション」サービスに申し込むと、無料で閲覧が可能になりました。さらに、「MTサーチ」を使えば1997年以降のすべての記事が検索できるようになりました。どちらのサービスも、いちいちMediproを訪問する必要はなくなり、その分使いやすく、いつでも自分のパソコン(PC)のブックマークからアクセスできるようになりました(図1)。記事までアクセスするステップが何段階か省略され、ブラウザーからone stepでアクセスできるようになったわけです。MT紙の愛読者で、このことをご存じない方が多いようなので、これはもったいないと思い、今月号はこの話題を取り上げます。また、私自身がMTサーチを利用してみた体験を、例として紹介したいと思います。

MT紙のインターネット上でのサービスは、2つに分けて提供されています(図2、http://www.medicaltribune.co.jp/)。1つが、最新のMT紙の記事内容を読めるMTインスペクションです。このサービスは、登録が無料ですから気軽に申し込めます。利用登録画面(図2左)には、しっかりと自分の名前や所属を記入します。将来、自分の専門に合った情報をカスタマイズして電子メール配信をしてもらうようなサービスを受けるためには、この個人情報は正しく記入仕手おいたほうが賢明です。

さて、利用登録画面に必要事項を記入し、登録ボタンを押すと、すぐに確認の電子メールが届きます。そこに記載されている内容をよく読んで、MTインスペクションのホームページにアクセスします。Windows系のパソコンを使っている場合と、マッキントッシュを利用している場合とで、使い方が変わりますから、注意する必要があります(マッキントッシュを選択すると、exeファイルが電子メールに添付されてきません)。うまくアクセスができると、MT紙の最新記事にアクセスできます(図1)。なお、セッティングの詳細については、次回(2月27日号)解説します。

本格的な医療情報のサーチエンジン

MT社独自のインターネットサービスとして、2つ目のサービスが、MTサーチです(図3)。上述したように、これは過去のMTの記事を検索して読むためのサービスです。ところで、海外の医学関連ホームページでは検索エンジンがあって、探したい論文がすぐに見つかるのは普通ですが、わが国の医療サイトで検索エンジンを搭載しているサイトはまれです。背景には、日本語という2バイト文字検索が技術的に難しいことが障害となっているのです。ですから、全文検索、インデックス検索、ファジー検索など、いろいろな検索概念がありますが、それぞれに運営者の考え方によってさまざまな検索方針が追加されています。利用者側が上手に使いこなすには、実際に使ってみて習得し、癖をつかんでいくしかありません。なお、MTサーチの場合、インデックス検索を用いているようです。

絞込み検索をすると効率が高める

さて、検索体験の一例を挙げると、MTサーチを使って、例えば「糖尿病性神経障害」という単語を入れて検索する場合には、「糖尿病性神経障害」という言葉に合致した用語があるページしか検索されないので、29件の記事しか検索されませんでした。一方、「糖尿病」で検索すると、1,703件の記事が検索されました。これでは多すぎて読み切れません。また一方、「神経障害」で検索すると、154件の記事が検索されました。100件以上になると、全部読むのはやはり大変です。糖尿病と関係のない神経障害の記事も含まれますから効率が悪いわけです。そこで、「絞込み検索機能」を使うことにしました。

「糖尿病」で検索した1,703件の記事の結果が出ているホームページの画面で、絞込みボタンを押します。すると、ボタンが点滅します(図3)。点滅している間に、新たに検索したい語句「神経障害」を入力し検索ボタンを押すと、検索エンジンが作動して79件の記事が検索されました。つまり、「糖尿病性神経障害」に合致する記事は29件でしたが、絞込み検索を使うと79件の記事が検索でき、約3倍の記事が検索結果として得られたわけです。このくらいの分量ですと、じっくり必要な記事を読んでみようという気になります。このように、「絞込み検索機能」は、時間がない医師にとっては助かる機能です。

年月日を確認し新しい記事から読む

検索した後の画面では、各記事のタイトル部分の「年月日」が最初に目に入ってきます。ですから、新しい記事から探し、読むようにしていきます。これでやってみると、それまで知らなかった話題をたくさん見つけることができました。それらは、MT紙に過去に掲載されていても、読み逃してしまった記事でした。こんなに重要な記事を読み飛ばしていたか、と驚くことがあります。また、自分の専門分野について知識を網羅的に常に確認できる体制があることは、臨床に限らず研究分野でも重要です。特に講演や執筆をするようなときには役立つことと思います。実際に使ってみて、MTサーチは、これまでのわが国の医学関連ホームページのなかでは、なかなか味わえなかったインターネットの本来の醍醐味を思い出させてくれる、と感じました。(2月27日号に続く)

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