Medical Tribune 2000年4月20日 31ページ ©︎医学博士 鈴木吉彦
論文はPDFや画像を貼り付けて医学論文の校正はインターネットで画像の貼り付けも可能に
医学論文を書いているとき、何度となく、上司に校閲してもらったりします。原稿が手書きであった昔は、わずか1行の手直しでも、全文を手書きで直さなくてはならず、とても時間が掛かりました。ワープロが登場してからは、チェックされた場所を修正するための時間が短縮され便利になったものです。
しかし、最近では多施設参加の臨床試験や共同研究が盛んになってきたため、他の医療施設の医師たちに文章をチェックしてもらう機会が増えてきました。このような場合、インターネットが何よりも便利です。私の場合、後輩の論文チェックは、全てインターネットを通じて原稿が送られてくることを原則とし、メールで原稿を送れない後輩には、チェックしてあげない方針にしています。というのは、病院で後輩と顔を合わせる機会が少ないので、じっくり議論している時間もないからです。また、内容をチェックし、修正点を指摘したいと思うときに後輩がいないことも多く、時間がたってしまうと、内容を忘れ、もう一度、最初から読み直さなければならないことも少なくありません。
後輩たちも、最初は私のことを意地悪な先輩だと思っていたみたいですが、インターネットでやり取りをしているうちに、便利さを理解したみたいで、今ではいつもインターネットで校正用の原稿を送ってきます。
色をつけて送り返す
論文を返送するときには、チェックポイントにマーカー(色)を付けて送り返すようにしています。ですから、後輩にはマーカーをつけられるエディタで書いた論文を送受信するように指示しています。まずは色なしの論文で送ってもらい、チェックした原稿にマーカーをつけて返送するようにしています。
Netscape Navigatorでは無理ですが、Internet Explorer、ではJava-Scriptを使えばキーワードにマーカーを塗る事ができます。ですから、HTMLで作って、それを後輩と先輩でやり取りする、というのも便利かもしれません。あるいは、論文を複数の共同研究者にチェックしてもらうときには、HTMLで作って自分のホームページの中にアップロードし、みんなに見てもらうことも便利でしょう。
PDF(portable document formatの略。Adobe Acrobatで用いられるファイルフォーマットで、電子ドキュメントの標準になっている)の利用も便利です。最近では、Word文書や、他のDTP(desktop publishing)ソフトのファイルをドラッグ&ドロップしてPDFファイルにすぐ変換する事も可能になりました。ですから、ほとんど学術雑誌に掲載できる形式にしたPDFファイルを、そのまま電子メールで送って、共同研究者にチェックしてもらうことも可能になります。
通常のエディタでも絵や画像を普通に貼り付けられるようになっています。例えば、Macであれば、J-Editで作ったファイルに画像を貼り付けて、Simple Textの形で保存します。相手がMacユーザーであれば、大抵Simple Textのプログラムを持っているはずですから、開封できるはずです。
なお、ここに示したのは、あくまで一例です。今後、こうした技術は、どんどん進歩しますから、やり方も変わっていくでしょう。