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臨床とインターネットの接点⑲

Medical Tribune 2002年10月24日 33ページ ©鈴木吉彦 医学博士

WebMailの活用 出張先でもメール閲覧ソフトで確認

インターネット利用が有料に

講演依頼や学会発表などで海外に出向いたとき、ホテルのダイヤルアップ接続からインターネットにつなぐという手もありますが、最近、多くのホテルでは利用にチャージをかけるようになりました。1996年当時は、米国では、いくらインターネットを利用しても無料をうたい文句にしているホテルが多く、そういう施設を選んで宿泊していたものです。

ところが、最近では、そうしたホテルが減って、一定の利用料金、例えば、1回の接続で1ドル、30分を超えたら、さらに1ドルというような課金をするホテルが増えてきました。昔は、1回の接続で1ドルというシステムを提供するホテルでは、データポートからジャックを放さないで、そのまま常時接続状態にしておき、1日およそ120円ですますという使い方をしていましたが、それもできなくなってきたということです。インターネット利用者が増えたことで回線が混雑し始めたこと。設備にホテル側も投資が必要になったこと、課金することでホテル側の収益増加につながることなどのさまざまな理由が背景にあるからなのでしょう。頻繁に日本と連絡を取る必要がある場合には、ホテル代よりもインターネット利用代のほうが高くついたというビジネスマンの話も聞いたことがあります。

また、米国などの先進国に旅行するときには、プロバイダーがローミングサービスを提供していますが、ローミングサービスを提供していない国に旅行する場合には、アクセスポイントが見つからず、どのようにしたらよいか、わからない場合があります。そのような場合に、ホテルからではなく、かつ、アクセスポイントのことも心配しないすむという方法として、Webmailという機能を代用して使うことがあります。

Webmailとは、パソコン上のWebブラウザーや、i-mode・J-SKY・Ezwebといった携帯電話、Palm(Palmscape4.0以上)、L-modeから、URL(https://wmail.so-net.ne.jp/) にアクセスして、電子メールのチェックを行うことができるサービスです。一般には、ブラウザーからメール機能を持つサイトにアクセスし、そこでメールのやりとりをするわけです。このシステムは昔から知られていましたが、ホテルからのインターネット利用が無料に近い値段で利用できていた時代には、自分のパソコンに内蔵されたメーラーを使っていましたから、さほど必要性を感じませんでした。しかし、最近になって、ホテルでのインターネット利用料金が高くなったことで代用策として必要性が高まってきたようです。

プロバイダーがサービス開始

代表的なWebmailは、これまではMSNやYahooなどが運営するWebMailでした。海外のインターネットカフェに行って、隣で利用している人のパソコンの画面を見ると、どちらかのシステムにメールを打ち込んでいました(図1)。ところが、問題点がないわけでもありません。例えばMSNであれば、xxxx@hotmmail.comというアドレスを利用しなくてはなりません。このアドレスはふだん利用しませんから、送信メールを受け取った相手にとっては、返信をくれるアドレスと違うかもしれません。つまり、ふだん、やりとりをしているメールアドレスに対して返信が返ってきて、xxxx@hotmmail.com に対しては返信が来ない可能性があるわけです。ですから、海外に行くときには、頻繁に連絡をとる可能性がある人たちに対して、hotmailを利用するので、返信はhotmailあてにくれるように連絡しなくてはいけませんでした。

ところが最近、プロバイダーが会員に向けて、WebMailサービスをスタートしたので便利になりました。私の場合には、So-netを利用していますが、So-netのメールアドレスだけで、メールのやりとりができるような仕組みがつくられました(図2)。ですから、So-netのページから直接、自分へのメールをチェックできるようになったわけです。

また、こうしたメールシステムには、もう1つ利点があります。メールサーバのやりとりには、既にウイルスチェックが入っているので、ウイルスを受け取る可能性が低いということです。もし、万が一海外にいて、ウイルスの被害に合ったら修復する術がないかもしれませんから、これも重要なことです。

日本語のフォントが必須

Hotmialもプロバイダーが提供するWebMailもどちらも便利なのですが、どちらにも共通する問題があります。海外の学会場などで利用する場合、日本語の言語フォントがパソコンに内蔵されていないと文字化けを起こし、中身を読めないことです。画面を見るたびに「Japanese Fontをダウンロードしますか」と尋ねてきますが、Yesというボタンを押すと「管理者が許可していなので、日本語フォントをダウンロードできません」という返事が返ってくることもあります。そうすると結局、日本語で書かれたメールの内容は読めないということになります。送信する場合でも、英語でメールを書かなくてはいけません。

2002年の欧州糖尿病学会はハンガリーのブタペストで開催されましたが、インターネットカフェの人気は大変なものでした。パソコンもおよそ50台以上は設置してありましたが、いつも満員でした。しかし、日本語フォントが内蔵されているパソコンを利用できるかは、パソコンごとに違っていて、運次第で使えたり使えなかったりしていました。日本語フォントが設定されていないパソコンに当たったことには、あきらめるしかありませんでした。海外の学会主催者側もそのような点を考慮して、さまざまな言語を利用できるように、あらかじめ設定しておいて欲しいものです。

最近ではテレビにインターネット機能が付いていて、メールをチェックできる機能があります。仕組みを調べると、MailStartという会社が提供しているサービスを利用しているものでした。図3は、ブタペストでテレビからアクセスした画面ですが、ここでIDとパスワードを入力するだけで、メールサーバーからメールを引き出し、読んだり書いたりすることができます。テレビにはマウスが付いていないので、すべて上下左右のキーで操作しますが。慣れればさほど難しくありません。問題は、やはり日本語が読めないことです。

また、ホテルでのサービスですから当然有料でした。24時間利用して、約1,000円くらいの利用料必要でした。なお、このサービスはパソコンからも利用できます。http;//www.MailStart.com/ をURLにタイプして、そこからメールをチェックすることもできます(図4)。本来は「有料」と記載されていますので、頻繁に利用する場合には、年に15ドルの登録料が必要なようです

高齢者が使えるメーラーに

パソコンに精通している人やメーラーを自由に使いこなしている人にとっては、メールのやりとりはなんてことない作業ですが、そうでない人、初めてメールを使おうという人にとっては、操作性が異なる閲覧ソフトと、メーラーソフトを使いこなすのは大変なことでもあります。特に、高齢者などが初めてパソコンを使う場合には、そのような問題に遭遇します。そのような場合には、MSNが提供するhotmailのような一貫したシステムのなかの1つとしてWebMailから導入すれば、楽に使えることもあります。操作がホームページのなかにあるので、一連の操作の1つずつが使い勝手が良いように、高齢者には思えるかもしれません。今後、このWebMailは高齢者のパソコン利用対策などの一手段として、利用される可能性があります。

このようにWebMailについては利点もあり、欠点もあり、その利便性をどう感じるかは個人によってさまざまです。インターネットをふだん利用している医師であれば、通常のときはさほど必要性を感じないかもしれません。しかし、海外の学会に参加したり、旅行したり、あるいは外出先で緊急に病院からの連絡を受け取りたいときには非常に役立つ手段の1つなので、使った経験のない方は、ぜひ一度は試しておいたほうがよいと思います。

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