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プラスαのインターネット活用術13

Medical Tribune 2000年5月4日 18ページ ©︎医学博士 鈴木吉彦

オンラインサーベイホームページの利用が最良

インターネットやパソコン通信などの遠隔通信ネットワーク技術を利用するアンケート調査などを、オンライン調査(online survey)と言います。具体的には、ホームページ上に掲載されたアンケート内容を答えて、回答結果をホストサーバーに送信する、という作業を利用者が行います。サーバ側では、多くの利用者から集められた回答結果を集計し、その結果を利用者にフィードバックしたりします。

 簡単な調査であれば、掲示板に質問を出し、それに対する返答(RESと言ったりします。レスポンスの意味です)として、回答者からの返事を集めます。電子メールで質問票を送り、電子メールの返信機能を利用して、回答を集めるという方法もあります。

 しかし、これらの中では、ホームページを使ったアンケートが最も一般的です。なぜなら、電子メールで回収する方法では、差出人の実名が自動的に付加されてしまい無記名の回答には向きません。3択質問などに対する回答記入法も難しかったり、返信機能の使い方も個人によって様々なので、均一な回答結果が得られない恐れがあります。掲示板で回答を求める方法では、全くの白紙の掲示板に書き込むことになりますから、複雑な質問に対して、きちんとした回答を記入するのは難しいものがあります。

 これに対し、ホームページ上から回答を得る方法の場合、記入しやすく、集計する際にもフォームが整理されているなどの利点があり、上記2方法よりは、メリットが多いのです。

 母集団が調査の信頼性を左右

 医療におけるオンラインサーベイは、まだ多くはありません。My-Medipro(http://www.son-net.ne.jp/medipro/)では、SSRIやケイネットが、2ヶ月に1回くらいの頻度で、アンケート募集を行っています。もちろん、アンケートを行うための母集団をどう集めるかが、そのアンケートの信頼性を問うときに最も重要な問題となります。

 例えば、インターネットが普及していない時代に、そこでアンケート調査をすれば、母集団はインターネットを素早く修得できるコンピューター好きの医療関係者、というバイアスが掛かってしまうわけです。それを、一般の医療関係者と同等に扱えるかどうかは難しい問題でした。

 ところが、最近のように、多くの医療関係者が、普通にインターネットを利用する時代になると、インターネットを利用する母集団と、医療の現場にいる母集団とが、近い存在になってきます。そのため、アンケートの信頼性も少しずつ増してきていると言えるのではないかと思います。

 ホームページ上でアンケートを募れば、フォームという形式で対話型の質問を作り、回答を得ることもできます。回答の内容によって、複雑な枝分かれを作ることも可能です。あるいは、会員限定の空間にファイルを置くことで、対象を絞り込み、参加して欲しくない参加者を避けるようにすることもできます。

 回答者の個人情報が、電子メールのような形で添付されることもないので、匿名性を維持することもできます。ただし、事務局から回答者に連絡したい場合には、回答者の電子メールアドレスは、毎回、記入して送信してもらうことが必要です。

 One-to-One化で二重回答を回避

 しかし、ホームページ上からでも、オンラインサーベイにおいては、もっと深い問題があります。それは二重回答をどうしたら阻止できるか、という問題です。ボタンをクリックしてCGI(common gateway interface)を起動し、回答結果を登録するシステムを構築しても、同じ人が何度も何度も登録してしまえば、その調査は無効になります。特に、アンケート内容に営利企業の利害が絡む場合には、好ましくありません。

 例えば、Aという製薬企業がBという薬剤についてアンケート調査を取ろうとした場合、Aの競争相手であるCという製薬企業が、その薬剤について悪い感想ばかりをアンケートで何百回と回答してしまうとします。そのアンケート結果は、Cという会社に有利な結果が出てしまい、本来のBの薬剤の効果についての評価を歪めてしまうでしょう。

 こうした問題点を解決するには、ホームページをOne-to-One化して置く必要があります。One-to-Oneとは、特定個人が訪問したことを、ホームページ側が認識し、個人のプロフィールに合わせた画面に構築し直す技術で、誰がいつ訪問し、どういう行動を取ったかを記録しておく機能があります。例えば、その訪問者が過去にアンケート調査に回答した事があるのかどうか、がわかります。

 So-netが運営しているMyMediproには、One-to-One機能が具備されており、同一人は1回しか回答できないシステムがあります。こうした機能を使えば、重複登録の問題が解決され、オンラインサーベイが問題なく実施できると思われます。

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