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プラスαのインターネット活用術14

Medical Tribune 2000年5月11日 20ページ ©︎医学博士 鈴木吉彦

ホームページをつくる増えてきた病院のホームページ

 日本のホームページの数は、日々、膨張しています。健康に関したホームページは、4000近い数に登るようです。その中には、患者さん同士が、同じ病気を持つ人達との情報交換の機会を求め、自分でつくったホームページを公開したり、運営しているものも数多く見られます。

 インターネットがあれば、自宅にいながら、何でもできます。情報を入手することも、発信することもクリックやキーボードをたたくだけの操作で可能になります。手と頭の自由がきく人であれば、インターネットの利点は十分に活用できます。最近では、手が動かなくても声だけで操作できるパソコンも現れ、さらにその自由度は高まっています。

 ですから今後インターネットは、病気を持ち、身体の自由がきかない人にとって、大変便利な道具になることでしょう。足を患って車椅子生活をしている人たちが、同じ背景を持つ人たちとの交流の場として、いくつかのホームページを立ち上げています。こうした例は、今後ますます増えていくでしょう。 

 インターネットがブームになり始めた頃、多くの医師がホームページを作りました。ある場合は患者教育目的で、ある人は趣味で、ホームページを利用しようとしていました。ところが、最近ではホームページを、なんのためにつくるべきか悩んでいる医師たちが増えてきているようです。かつて熱心だった医師たちも、ホームページの更新をしていないようです。

 これに対して、病院がホームページを作る場合が増えてきたためでしょう。

 市販の専用ソフトが利用可能に

 米国では、医師たちが自身の専門性の高さを紹介したり、患者に対する親切さをアピールするなど、つまり、宣伝という意味で、ホームページを公開する場合も多いようです。インターネットのチャットに積極的に参加し、患者にアピールしようとする開業医を多いと聞きます。

 3年前には、ホームページを作るためには、HTML言語を1つずつエディタで組み立てて行かなければなりませんでした。ところが最近ではPageMillやDreamweaverというホームページ専門のエディタが市販されるようになりました。機能としてはDreamweaverが上で、値段も数万円と高価です。これはプロ向けのソフトです。これに対し、ホームページをちょっと作ってみたい、という場合には、PageMillがお勧めです。PageMillソフトの価格は(東京の)安い店では5000円以下と手ごろで、初心者向けのソフトです。

 最近では、Office2000には、高度のHTML技術が組み込まれています。特に、PowerPoimtに組み込まれているHTML技術はレベルが高いと言えましょう。画像の圧縮などはレベルが高いものです。

 ともかく、これからはホームページを作るのは、誰もが簡単にできる、あるいは、出来なくてはいけない技術になります。ホームページを作る医師やナースも、増えてくるに違いありません。患者さんに「先生のホームページを見せてください」と言われる時代が来るのも近いはずです。

 パスワード設定で利用者を限定

 ホームページを作ると、色々と便利な事があります。自分から特定の情報を広く一般の人に知らせることだけが便利さではありません。かえって、広く知らせずに特定の人にだけ教えた方が良い場合もあります。

 例えば、医師自身が診察している患者さんに対してだけ、サービスをしたい場合があります。そうした場合は、不特定多数の人に知らせてしまうと、かえって困ってしまうことも出てきます。近所のある特定エリアに住む患者さんに対して、講演会などのお知らせをしたいだけなのに、関係のない患者からの問い合わせが殺到するようでは、困ってしまいます。

 このような場合は、パスワードがなければホームページには入れないようにしておけば良いでしょう。一般に、パスワードによるプロテクトは、CGI(common gateway interface)というプログラムを作る必要があります。インターネット関連書籍には、いくつかのサンプルがありますので、それを参考に作れます。あるいは、簡単なパスワードシステムであれば、JavaScriptで作ることをよく理解できない素人でも、解説書を見ながら構築できます。

 このように、自分のホームページに認証をかけ、その空間のなかに入るためには、特定のパスワードを必要としておいて、そのパスワードは自分が情報提供したいと思っている患者さんだけにサービスを提供する事が可能になります。

 こうした利用者限定のシステムを実際に構築している病院や医院は、まだ、日本では見かけないようです。しかし、会員制の医院を開設することと同じ発想ですから、いつかは生まれてくるのではないかと考えます。

 「お知らせ」も電子メールで

 ホームページにおいて患者に登録をしてもらい、電子メールアドレスを記入してもらうシステムを作れば、医師から患者に対し、定期的に医学情報を電子メールで配信することも可能になります。特に、パソコンのレベルにもよりますが、最近ではパソコンから数百人に一斉に電子メール配信ができるプログラムソフトも市販されていますので、例えば、「〇〇医院の今月のお知らせ」という電子メール新聞を、通院している地域の患者たちへ配信する医師も出てくるでしょう。

 ホームページでは患者が見に来てくれることを期待するだけでなく、積極的に、患者に情報を提供したり、特定の患者に対し、特別なサービスを提供する道具として利用するのが良いでしょう。ただし、そのためにはある程度、インターネットの特殊な技術を習得しておかなくてはなりませんので勉強が必要です。

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