My Medipro

プラスαのインターネット活用術27

Medical Tribune 2000年8月17日 18ページ ©︎鈴木吉彦 医学博士

声の送受信が自由にできる時代に 

“ナースコール”としての利用も

ボイスメールで音声を添付

 外国人と話をすると,よくボイスメールが届いている,ということを聞きます。日本人同士ではまだ流行していませんが,筆者が使っているEudora Proには,version4.0からボイスメールの機能が付いています。

 ボイスメールと言っても,通常の電子メールに,音声が添付書類として付けられて、電子メールと一緒に送るものです。読み込む側は,電子メールを開き,クリック1つで相手側の声が聞けます。

 ボイスメールが,文字情報のメールよりも,いまひとつ人気がないのは,受け手側がまどろっこしいと感じることです。文字なら一目で理解できることでも,ボイスメールでは,最後まで音声情報を聞かなければ要件が伝わりません。その時間が掛かることに,まどろっこしさを感じてしまう利用者が多いのです。

患者さんには最高のツールに

 もし,インターネットが普及し,電子メールやボイスメールの機能を入院中の患者さんたちが利用できるようになれば,便利になるかもしれません。インターネットを使って,入院中の患者さんが,看護婦や担当医師に自分の病状を伝えることができればナースコールとして使えます。医師や看護婦は,ナースステーションに座っていながら,あるいは医局や自宅にいても,患者さんの状態がすぐに手元でわかるわけです。それに,電子メールが届いたらすぐに知らせるアラート機能を付けておけば,緊急の患者さんの訴えにも対応しやすくなります。

 そういう場合でも,患者さんに自分で病状や気分を文章にして電子メールで送ってもらえば,看護婦はカルテに記載する手間も省け,楽になるでしょう。

 しかし,病の床に伏している患者さんにとって,キーボードに向かって文字を打つのはたやすい仕事ではありません。特に,仰向けになって寝ている患者にとって,キーボードでタイプするのは楽な作業ではありません。そういう場合,ボイスメールを使えれば大変便利な道具となるに違いありません。

掲示板やチャットがなくなる

 高速インターネット環境が普及し,音声などが送受信できる時代になると,電話カンファレンスが可能になってくるでしょう。電話を使わなくても,音声の送受信がリアルタイムでできるようになれば,電話と同じ機能が持てるようになるでしょう。携帯電話が普及し,高速インターネットが普及することでインターネット電話ができるようになれば,これまでの普通の電話は不要になるかもしれません。

 海外との声の送受信が,定額インターネット環境で利用できるようになれば,海外との電話連絡も,ほとんど無料でできる,ということになります。遠距離電話は高い,という概念がなくなってしまうかもしれません。

 そうなると,これまでのような文字をベースとしたチャットや掲示板の価値が,どんどん下がっていくことでしょう。声や動画をベースとした交流の場が増えていくことでしょう。

E-conferenceも可能に

 最近、e-conferenceという概念が広がっています。どこにいても,だれとでも自由に会議を開くことが可能になってきます。北海道と九州にいる医師同士が同じ画面を見,声を送受信しながら,議論をできることが可能になってきます。これまでは,テレビ会議システムがありましたが,それでは動画と音声しか送受信できませんでした。具体的には顔や声を送受信できることが中心でした。

 しかし,今後は,PowerPointファイルなどが誰とでも共有できるように,どこからでも,同時に見ながら,それについて議論できるような状態になると思います。議長は誰か,誰が参加しているのかを確認しながら,同じPowerPointの画面を見ながら,遠隔地同士での会議が可能になります。

 これが実現化すると,治験のために医師が日本中から一か所に集合するとか,学会の委員会のために,多くの医師が集まるとか,そうした活動が不要になります。これは,製薬企業の開発部門にとっては魅力的なシステムになるでしょう。Medipro(http://www.so-net.ne.jp/medipro/)においては,将来,こうした技術を導入し,」新しいコミュニティを形成していきたいと考えております。

-My Medipro

© 2024 MedicalProfession公開情報記事サイト Powered by AFFINGER5