Medical Tribune 2000年3月23日 16ページ ©︎鈴木吉彦 医学博士
オンライン企業・オンライン市場 米国ではネット株への投資が加速
米国では、人気のあるインターネット関連会社の評価はうなぎ上りに高くなってきました。その背景には、インターネットを利用する若い人たちが、株式市場に投資するようになったからという説があります。インターネットをよく使う若い人たちは、古い産業よりも、新しいインターネット産業に投資する傾向が強まり、投資対象株としてインターネットビジネスに集中するようになったようです。
米国の証券業界では、ハイテク関連株というより、インターネット関連株あるいはネット株という用語までできて投資の集中が加速しているようです。さらに、1998年のクリスマス商戦などを契機に、インターネットのオンラインショッピングで購入し、友人や肉親、恋人にプレゼントする機会が増え、米国ではオンラインショッピングに対する商業的な期待も膨らんでいます。
“成功するのは難しい”が現実
しかし、実際に、米国のインターネット会社の株式動向を見ていると、必ずしもどの企業も株価が上がっているわけではありません。夢を語る人は多いけれど、実際に成果を上げるのが難しい-これがハイテク産業のビジネスです。ですから、夢のようなビジネスプランではなく、しっかりした具体的なプランを持っていなければ、いたずらに信用して株を買ったりすることは危険です。
日本でインターネットがブームになったのは3年前です。当初は、インターネットで数々のビジネスが成功するのではないかと考え、多くの人たちがチャンスを求めて飛びついていました。しかし、そうした期間は長くは続きませんでした。
インターネット・ビジネスは、誰もが成功するとは限らない事がわかってきたからです。それからは、撤退した会社も多くなり、1997年度前半には、ブームは遠のいたような時期がありました。特にプロバイダーやホームページを作って一儲けしようと軽く考えていた会社の人たちは、手痛い目にあって失敗し倒産したようです。2年前には、インターネットのホームページを宣伝する広告が、各種医療関連雑誌に掲載されていましたが、今ではそうしたホームページは消滅していることも珍しくありません。
日本では、インターネットだからといって、米国のようにベンチャー企業が成功するとは限らず、むしろベンチャーに投資することは米国の数倍もリスクが高いと考えられていますし、また、リスクを軽減する方策が少ない点も問題です。
手軽にオンライン株式取引
米国の医療サイトに行くと、株式取引の情報サービスをしています。高額所得者である医師の中には株に関心がある人たちが多いためでしょう。日本では1999年10月1日から株式委託手数料が完全自由化され、従来より最大9割引き下げた格安手数料が登場したうえ、自宅などから注文を出せる手軽さから株式投資の経験が乏しい医師などにも利用の層が広がっているようです。病院で、昼食の時間にちょっと100万円の株を売って夕方までに20万円儲かった、という医師も、今後は現れるかもしれません。