第6回 広域分散型データベースの検索に威力を発揮
MEDIAPEX インターネット進化論 1999年6月15日 第197号 ©︎鈴木吉彦 医学博士
広域分散型データベー検索の典型例がMedipro
昔、医学文献検索は手間や費用がかかる作業でした。Mediproで文献抄録を見るだけで1週間も必要で、文献1件に500円もの値段がついていたこともありました。しかし、Mediproがインターネットで利用できるようになってからは価格体系も崩れました。今では、破格の値段でできるようになりました。例えば、Medipro Medline(http://www.so-net.ne.jp/medipro/search.html) は、月額400円という値段で使い放題です。昔を考えれば夢のようです。
このように、広域分散型データベースの検索には、インターネットは絶大なる威力を発揮させます。
複数のMedline検索エンジンが利用可能
Mediproはアメリカ国立医療図書館(National Library of Medicine , NLMと略します)が、世界中の医学会雑誌の抄録を集めデータベース自体はNLMが構築していますが、それを検索する検索エンジンには、さまざまな種類があります。
NLMが独自で開発し無料で提供している検索エンジンはPub Medto呼ばれる検索エンジンです(ただし、このサービスは近く有料化されるという話です)。特徴は関連する論文(Related Artiicle)がすぶに見つかることです。引用文献を孫引きする形で関連文献を探っていってオリジナルの文献を見つけることができます。
ただし、Pub Medは検索システムが複雑すぎて、目指した文献がすぐに見つかりにくいという意見が多いようです。筆者は、Pub Medの他に。COSのMedlineという検索エンジンを利用しています。なお、Medlineについては、改めて本連載の後半ででも説明いたします。
Medlineにあるさまざまな検索システム
Medlineの文献データベースは、NLMが提供するエンジン(つまりPub Medエンジン)だけで検索できればいいわけではありません。世界中には、このデータベースを検索するべきシステムが、他にもあり、Pub Medが使いにくい点を改良した、さまざまな検索エンジンがあります。
例えば、文献のどういう特徴を重要視して考えるか、によって検索結果として表示される内容が変わります。最近の論文を古い論文より重要視して先に表示するのか、クリックされることが多い論文を重要視して先に表示するのか、表示されることが多い論文を重要視して表示するのか―などなど。検索結果を表示する原則を考えるにおいて、さまざまな検索システムが作れるわけです。
インターネットでは、利用者が選びたい検索エンジンを複数選択することが可能になり、いろいろな角度から検索をし、必要な論文を見つけ出すことが可能になります。とくに最新論文を書いている研究者は、他人が普通に探せる論文では物足りなくないはずです。自分だけの特殊な検索をして、独自の理論を生み出すには、検索においてもさまざまなアプローチをする必要性が高いはずです。