第5回 役立たない情報は淘汰され、役立つ情報は読者が購入する
MEDIAPEX インターネット進化論 1999年6月1日 第196号 ©︎鈴木吉彦 医学博士
読者に判断をゆだねるホームページは使いづらい
個人が作ったホームページが乱立すると、がらくた情報ばかりが集積されてしまい、読者はその中で、どのページをみたらよいか混乱するばかりである、というお話を前回にいたしました。こういう事態が進むと、次々と入ってくる情報に対し、読者は自分自身の判断でその都度、どれががらくたで、どれがダイヤなのかの判断を要求されるのですから、これは煩雑です。タイトルにつられて、おもしろいと思って読み始めたページが、結局読んでみると、商品の宣伝だったり、水準の低い内容だったりすることも多く、悔しい思いをします。
役立たない情報は淘汰されることが必要
では、どうしたら、良い情報ばかりを見つけることができるのでしょうか? そのためには まず、役立たない情報が淘汰されること、あるいはインターネットの世界で無視されることが必要です。確かに97年の夏頃から、かつて世界は自分のもののように豪語していた個人のホームページにおいても、変化がおきてきました。無料で、ボランティア精神で続けていたホームページの多くは、しだいに内容の更新もなされず、メインテナンスもなされず、放置されていることが多くなり人気がなくなってきました。
また、リンクを繋いでコンテンツを捜す方法、通常これをネットサーフィンと呼びますが、そうした遊びも、死語に近くなってきました。ネットサーフィンなんて、時間と接続費用を無駄にするばかりで、何のメリットもないことに気がついた人が増えてきたからです。こう した意識が広がることは大切で、しだいに個人がボランティア精神で情報発信しているホームページ、あるいは、がらくた情報ばかりがあるホームページは無視されるか、急速に人気がなくなりました。
役立つ情報を有料で
これまで紙メディアであった雑誌や書籍は、値段がついて有料で販売されています。なぜ有料なのか、といえば、それは、新聞や出版物では作者や編集者が情報提供者としての倫理感をもち、情報の質を管理し選択しつつ提供しているから、その労力に対して読者が対価を支払うのは当然であるから、と誰でもが考えているからです。
あらかじめ役立つ良質の情報ばかりが選択されていれば、読者は、がらくた情報と良質の情報を自分でより分ける必要がない分だけ、時間的、精神的なロスは少ないわけです。それをお金で買っている、と表現してもいいかもしれません。
同じことがインターネットにおいても、当然、生まれてくるべきです。つまり、インターネットにおいても、役立つ情報は、有料で読者が購入するか、あるいは、テレビのように然るべきスポンサーがついて、情報発信者に対して対価が支払われるシステムがあるべきだと考えられます。そうしなければ、情報発信者や編集者の労力に対する正当な報酬が払えないわけですし、それならば、情報発信者も編集者も、真剣に良い情報を提供してくれるはずがないからです。
情報は無料という考えは インターネットの進歩を遅らせる
インターネットが始まった96年当初、多くの人たちが、こうした当然の原則を否定していたものでした。情報はインターネットでは無料で提供するのが当然だ、と豪語する人たちばかりだったのです。それは、情報発信にかかるコストがきわめて安いことからくる錯覚だったといえるでしょう。しかし、こうした錯覚のせいで 日本では、インターネットにおける役立つ情報 を、有料で販売するシステムの立ち上げが遅れました。
医療関係者では、とくに医師は、これまで製薬企業から無料でサービスを受けてきた習慣が根強く残っていたせいか、情報は無料だ、という意識が強かったのです。それが、インターネットの普及や進歩を著しく妨げる要因となっていました。
また、これが日本の多くの医療専門書出版社を悩ませ、製薬企業からのサービスのありかたを混乱させている原因であった、といえるかもしれません。
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