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プラスαのインターネット活用術38

Medical Tribune 2000年11月9日 34ページ ©︎鈴木吉彦 医学博士

コンテンツパッケージ(1)

1回の登録で複数のコンテンツを利用

定額制で使いやすく

 最近では、インターネット上にたくさんの役立つコンテンツ(情報内容)を見つけることができるようになりました。例えば、Mediproには、日本を代表する医学系出版社から提供されるコンテンツが集約されています。それらのコンテンツは、医学書などではベストセラーの商品ばかり。ところが、医療関係者の多くに利用されているかというと、そうでもありません。理由は、電話代が掛かるという問題もさることながら、登録が面倒臭いから、というのが大きな理由でした。

 しかし最近になり、定額制インターネットが普及し始めています。東京では、以前、本連載でも解説したソニーのwireless local loopを利用した1.5メガの高速インターネット回線を利用しているマンションも販売されるようになしました。さらに、NTTは電話料金が固定のサービスも始め、さらにインターネット接読業者側にも、定額でインターネット使い放題のサービスが生まれてきました。こうした料金定額制の普及によって、インターネット上で利用できるコンテンツの価値も、ますます高まってきました。 

 これに対して、件数課金という仕組みもあります。これは、1件いくらという方式で課金されます。コンテンツを閲覧するとき、あるいはファイルをダウンロードするときに、このコンテンツを見るためには何円ですという表示が出ます。ソネットには、さらに、法人課金という仕組みもあります。これは、利用者は複数ですが、支払いは1人、つまり法人が支払うという仕組みです。この3つの課金システムのなかで、最も人気が高いのが個人向けの月額定額制の課金システムです。

定額制にも唯一問題が

 月額定額制は、使えば使うほど得をする、使わなければ損をする、という仕組みです。医療の世界では、いつ患者が目の前に現れるかわかりません。ですから、いちいち使いたいときに申し込み使わないときには退会する、という方式をとる人は少ないわけです。多くの利用者は月額定額制のシステムを採用し、使いたいときには必ず利用できる、という便利さを選択します。 

 ところが、月額定額制にも問題が1つあります。Mediproでは、多くの医療関係者がコンテンツを利用する会員(コンテンツ会員)になっているわけですが、よく調べると、同じ人が複数のコンテンツサービスを重複して申し込んでいることが非常に多いのです。ですから、そういう人たちにとっては、コンテンツごとに1つずつ登録手続きを踏まなくてはいけないわけです。しかし、それは実際には非常に面倒な手続きを踏みます。2個、3個までは登録しますが、4個、5個となると面倒になってきて、そのうちに登録作業そのものが嫌になってしまいます。そうなると、せっかく使いたいコンテンツがインターネット上にあっても、利用できない、登録が面倒だという理由、つまり、インターフェースが悪いために使えない、ということになります。

「定価」の半額以下に

 こうしたインターネット特有の問題を解決するために、Mediproと提携していて、かつ医学系の有料コンテンツを提供している専門書出版社の人たちと相談しました。

 その結果、思い切って一致団結して、新しい構想をつくろうということになりました。それは、登録時のインターフェースを簡単にし、1回の登録で役立つコンテンツを複数個、使えるようにしよう、という試みを考えたのです。これが、いわゆる「コンテンツパッケージ構想」です。この構想について、最初に医学系出版社の皆さんに相談したときには、皆さんから驚かれました。なぜなら、私の提案は現在のコンテンツ価格である「定価」の3分の1から2分の1の価格にしよう、というものだったからです。

 いろいろなコンテンツを1つのパッケージにすることは、確かに、利用者は1回の登録ですむから楽です。しかし、例えば10個のコンテンツがあったとしても、普段はそのうちの3つしか利用しないかもしれません。残り7つのうち、例えば4つは何かのときに利用するかもしれませんが、残り3つは全く利用しないかもしれないわけです。そうなると、利用者としては、10個のコンテンツがあっても、1つ1つのコンテンツの定価を加算した価格で購入するのはばからしい、と思うことになります。

 私は、医師ですから、利用者側の立場になってものを考えます。つまり、医師にとって、すべてのコンテンツをいつも利用するとは限らないわけです。医学知識は、時に必要なことがありますが、毎日必要というわけではないのです。ですから、たとえパッケージに10個のコンテンツがあったとしても、普段は4つしか利用しないのであれば、やはり価格は半額以下でなければ購入しないと思ったのです。

 私は、医学系出版社の人に、私なりの考えを率直にぶつけ、多くの議論をしました。そして、結局は現状のままで医療関係者に喜んで利用してもらえないのであれば、コンテンツは無駄になるし、なんとかチャレンジしてみようと考える会社が増えたのです。

 その結果、約半年の議論を費やしましたが、多くの医学系出版社からの賛同を得られ、ようやくコンテンツパッケージ構想が完成しました。これについては、次号から、また詳しく説明しますが、まず最初に完成したのが、Mediproコンテンツパッケージ(A)と呼ばれるサービスです。これは、図のようなコンテンツが、合計で2,980円/月で定額制サービスとして利用できます。価格を比較するとわかりますが、合計コンテンツの3分の1の価格になっています。さらに、今後コンテンツパッケージ(A)のなかには追加されるサービスが増えていき、おそらく15個くらいのサービスになると思いますが、価格は据え置こうと相談しています。

 なお、Medical TribuneのWeb版も、10月からはMyMediproのなかか、コンテンツパッケージ(A)に登録する形でなければ、利用できないようになりました。

<図>コンテンツパッケージ(A)の画面

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