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ドクターのためのインターネット講座  第19回

第19回 悪意のある人がウロウロしています

MEDIAPEX インターネット進化論 2000年1月15日 第211号 ©鈴木吉彦 医学博士

日本でもパトロールが始まっています

ホームページは、安価に誰もがつくれるので、基本的にはどんな情報も世界中に発信できます。しかしこうした表現の自由には問題があり、特に倫理的な問題を起こすホームページには、規制が必要です。

 日本でも、わいせつ画像や文書が摘発され、制作者が家宅捜査を受けた事件がありました。表現の自由のさかんなアメリカでは、この問題は深刻で、1996年2月に通信法が改正され、わいせつ性の高いホームページは規制されることになっています。

 医学の場合は、産婦人科領域の画像や文書は、一般の人から見たら、わいせつ画像かどうか、判断に困るものも多いわけです。ですから、Mediproでは、わいせつ画像と誤解されるような画像は、できるだけ医療関係者限定空間に掲載する方針です。

 インターネットの世界はまだ未熟な点も多く、これまでは、わいせつ画像や文書は、問題になった時点後に摘発することがおおかったわけです。日本でも今後は、パトロールという形で、警察が常にホームページをチェックする機構が作られます。

身元の分からない管理者のホームページは信用しないこと

日本の薬剤情報を発信するホームページにおいても、情報発信者の身元を明らかにせず、運営しているホームページがあります。そして、他社のコンテンツにリンクをはって、あたかも自分が作ったコンテンツのように見せ、人気を得ているホームページがあります。こうした運用責任を明らかにしなかったり、著作権について無関心なホームページには規制を行うべきです。何のために、誰が責任をもって、どういう対象に医薬品の情報を発信しているのか、それをホームページ上に明確に記載しておくことが医療サイトとしては必要とされます。それを満たしていないホームページは、無視するべきです。うかつに、見た目や内容がよさそうだからと読んでいて、とんでもない医療情報を押しつけられたり、洗脳されたりしたら大変です。

著作権がリンクで侵される-悪意のリンク-

リンクは、一般には、“紹介する”という行為と同じです。ところが、紹介のしかたでも、いろいろあります。例えば、“あるホームページの医療情報を、自分がそれを作ったようにして紹介してしまう”というのは、悪意のリンクと呼ぶべきものです。特に、医療と関係のない企業がリンク集だけを作ったような場合に、そういうケースが多いのが問題です。医療情報は専門性が高いので、通常の人ではコンテンツを制作できません。ですから、リンクでごまかしてしまうという人が多いのでしょう。こうした行為の防止には、トップページにリンクの制限を明記しておくしかありません。

 インターネットにおいて、著作権の問題は、基本的に印刷物や放送などの著作権と同様の保護を受けることができます。他人のコンテンツを、あきらかに自分のコンテンツのように見せているのは、違反です。

 特に企業間の問題の場合には、しっかりした契約関係をもとにしてリンクをはっていく必要があります。なんのためにリンクをはるか、どう見せるか-は、簡単なようで難しい問題です。

商標権を悪徳目的で利用するケース

ある医学関連の協会のホームページにリンク願いをだして、協会がリンクを許可したところ、なんと、その協会の名前をタイトルに利用して、ホームページのアクセスを増やそうとするホームページもありました。営利目的のために、リンクを許可したということは、商標権の利用を許可したわけではないにもかかわらず、悪用されたわけです。こうした、他人の名義を勝手に利用したり、その人になりすましたり、といった犯罪まがいの行為をする会社や個人には、社会的に制裁が加わるようにすべきですが、現在のところ、法的な整備が行われていないようです。

自己責任

 インターネットの世界では善意の人ばかりがインターネットを利用しているわけではありません。顔が見えないことは、犯罪に結びつきやすいとも言えるのです。被害にあわないためには、インターネットにおけるルールをよく理解し、自己責任の意識をもちながら、危険を回避し利用することが大事です。

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