第3回 情報を効率よくひきだすために
(その1:検索サイトを利用する)
MEDIAPEX インターネット進化論 1999年5月1日 第194号 ©︎鈴木吉彦 医学博士
WWW上で、どんな情報をあるかを調べ、キーワードを入力することで検索できるように整理しているホームページを、検索サイトとか、検索エンジンといいます。大別して、その種類は3種類あります。カテゴリー検索エンジン、全文検索エンジン、One-to-One システムです。
カテゴリー検索エンジン
カテゴリー検索エンジンと呼ばれるシステムは、ホームページのあるアドレス(一般的に、URLと呼びます。)が、各分野ごとに整理してある索引集です。その索引の階層を追って、 情報を探しにいきます。便利な反面、途中でカテゴリーを誤ると、目的のページには到達できないという欠点もあります。Yahooなどがこのシステムの代表で、広く使われていますが、迷子になりやすく、インターネットに慣れてしまうと、あまり使わなくなってしまいます。自分が訪問するホームページがしだいに決まってしまうからです。
ただし、Yahooには、キーワード検索機能がありますから、それで該当するホームページを直 接探すことも可能です。こういう場合は、一 度、訪問したことがあるホームページを、もう一度、探したいという時に便利です。
医学分野でYahooは使いにくい
医学に関する情報を探す場合、Yahooの機能は使いにくいものです。例えば、具体的な情報ジャンルに到達できたとしても、そこには、患者の体験談から、高度の医学情報まで、ばらばらな情報が、羅列されて出てきます。質の高さ、情報発信源が医学者なのか患者なのか、ジャーナリストなのかなどが判別できない形で、煩雑に置かれてしまっています。それを見極めるためのシステムも作っていないようです。内容はないけれども、デザインばかりがよいホームページが高い評価を得ていることもあります。医学に関する情報としては役立たない検索結果がでることも、少なくはありません。
医学は、情報量の問題というより、情報の質の高さ、正確さ、evidenceに基づいているかなどの信頼性がなによりです。そうしたQUALITY CONTROLが危ういと、患者の命を救うかどうかの岐路にたった時、誤った判断をしてしまいます。質の高くない情報に晒されることは、時間の無駄だけでなく、誤診や医療ミスに繋がる問題になります。
Yahooは有名な検索エンジンですが、医学に対する質の管理については、疑問があります。ですから、筆者の場合は医学に関する重要な情報をYahooで検索することは少ないです。Yahooは、昔訪問したホームページを思いだすためや、医学以外のホームページの所在を調べるためのイエローページとして利用することがほとんどです。なお、このタイプの検索エンジンには、Lycos, Excite,Hole-in-Oneなどがあります。参考URLは、www.yahoo.co.jp,www.lycos.com, www.excite.com, hole-in-one.com, などがあります。
全文検索エンジン
任意の単語で検索すると、その単語を含むページを表示してくれるのが全文検索エンジンです。探したい情報が見つからない場合、非常に広いデータベースから、ピックアップし、探してくれるという点で有効です。しかし、単語がそのホームページの中にひとつでも含まれると検索されてしまうので、無関係な情報まで拾ってしまいやすく、結果も膨大になり、絞りこみができにくくなります。このため、できるだけ絞りこみが成功しやすいように、複数の単語で検索したり、キーワードをできるだけ具体的な単語や固有名詞にする必要があります。
このタイプの検索エンジンとしては、InfoSeekやGooが有名ですが、他にもたくさんあります。検索エンジンには、そのエンジンの設計方針や検索機能によりさまざまな検索結果が 異なります。どの検索エンジンが使いやすいかどうかは、使いなれて調べるしかありません。
One-to-One検索&閲覧システム
最新の情報検索スタイルがこのシステムです。One-to-Oneとは、インターネットの利用者ひとりに対しカスタマイズした情報を掲示していく、という概念を表現したものです。
このシステムは、Netscapeや、Yahooだけでなく、世界中のインターネットにおける先進性のあるホームページが1998年頃から採用し始めました。多くのホームページには、「My」という頭文字がついています。例えば、Yahooは、My Yahoo,NetscapeはMy Netscapeというタイトルのホームページを開始しました。日本でもさまざまな会社が、このシステムを採用し、筆者が運営するMedical Profession でも「My Medipro」というホームページを構築しました。
このシステムは、利用者が自分のプロフィールを予め登録しておくと、そのプロフィールに合わせ必要な情報が優先的に表示されるシステムです。ですから利用者にとっては、あたかも自分のホームページのような感じで使いこなせることができます。また、情報の検索にも手間どらず、必要な情報にすばやく到達することができます。
「医学の分野では「My Medipro」が最初の試みですが、まだ体験されていない方も多くおられると思います。本連載の中で詳しく解説していきたいと思います。