My Medipro

第5回 役立つコンテンツは、有料でパッケージとして購入(1)

Mediproはみんなのポータルサイト

医療とコンピュータ (株)日本電子出版 Vol.12 No.3 2001.3 ©鈴木吉彦 医学博士

インターネットの世界には、医学に関する情報が日々、蓄積されています。

すでに紙媒体における情報より多くなり、もはや氾濫しつつあります。ホームページにあるリンクをクリックし、それを繰り返しつつ情報を探していくうちに、元の画面に戻れなくなり事もあります。氾濫している情報の中から、貴重で役立つ情報を見つけるものは、がらくたの山の中からダイヤを見つけるくらいに大変なものです。ですから、情報検索上での、迷子になることが多くあるのです。

この4,5年間は、情報の検索道具として、「検索エンジン」と呼ばれる検索プログラムを用いて探すことが推奨されてきました。Yahoo, Infoseek, Gooというディレクトリー検索サービスが、一斉を風靡したのです。その背景には、役立つ情報を見つけにくいというインターネットの欠点があり、検索エンジンがそれを補う道具と考えられてきたのです。

しかし最近は、こうしたディレクトリーサービスの将来に対して、疑問を打ち出す意見もでてきています。私も、私の周囲の人たちにも、上記のような検索エンジンを、最近は利用しなくなった、という人たちが増えているのです。私も同様です。検索エンジンによるしぼりこみ検索では、それでも情報が多すぎて利用できないのです。絞り込めないといっても過言ではないでしょう。ですから、最近ではお気に入りを利用するだけで、同じホームページを頻繁に利用するが、それ以外のホームページは利用しない、という利用者が増えているわけです。私自身も、Yahooを利用するのは1ヶ月に数回という状態です。1日に何度もYahooを利用していた昔とは、ずいぶん、情報の検索に対する姿勢が変わったものだと思っています。

Yahooを訪問する頻度が減る分だけ、専門サイトを訪問することが増えるようになりました。新聞社のホームページを見に行ったり、今日のテレビ番組を調べたりするのは、常時接続のインターネット環境をもつ私の自宅では、普通になっています。特に新しいニュースは、各新聞社のホームページにある記事の内容同士を比較するような習慣になってきています。

さらに、医療分野の情報は、こうした、検索エンジンで探しても、雑多な情報しか見つかりません。検索エンジンで見つけたホームページを、ひとつひとつ開いてみて内容を確認するのは大変な手間です。忙しい医療関係者が、そんなわずらわしい作業をしている暇はありません。ですから、Yahooをしだいに利用しなくなった分、Mediproを訪問する回数が増えるようになりました。Mediproの中で、ニュースを探したり、文献を調べたりする回数が増えるようになってきたのです。  

高品質の情報だけが集結する必要性からMediproが誕生

医書出版社や製薬企業から、医療関係者に対しQualityの高い情報を発信するひとつのGatewayが、Medipro (URL=http://www.so-net.ne.jp/medipro)です。最近では、1日3000から4000名の医療関係者が訪問し人気ホームページとなってきました。

私の周囲でも、多くの医療関係の利用者が、WWWブラウザのHOMEの設定を、Mediproに設定している、と言います。まず最初に訪れるホームページのことを、ポータルサイトと呼びます。Mediproは、日本の医療関係者にとってのポータルサイトになりつつあると評価されたためか、最近では、ほとんどの大手製薬企業の情報も、Mediproに集結するようになりました。Mediproを訪問するだけで、高品質の医療情報へ迅速に効率的に到達できるように、という目的で、So-netでは、薬剤師が複数担当し、常にメインテナンスしています。最新の話題には、日々、新しいコンテンツが掲載されます。毎日、3000名から4000名の医療関係者がここを訪れます。あたかも日々、学会でも運営しているような忙しさです。

Mediproから、日本にある高品質の医療情報を探す

Mediproにあるコンテンツのほとんどは、各情報提供会社(医書出版社や製薬企業)が、独自の方針や哲学をもって提供しています。有料情報として提供されるコンテンツも多くあります。その意味では、Mediproは、ひとつの医療専門情報デジタル媒体を販売する書店のような価値を生み出しています。そのデジタル書店において、多くの医学系出版社から生み出された情報が陳列されているのです。そして、書店は、本を、できるだけ多くの人に購入してもらいやすく、工夫を凝らし陳列しますが、同じように、Mediproでも各情報提供会社から提供されたデジタル医学コンテンツを多くの医療関係者に利用してもらいやすいように価値を高めようとして表示してきました。

その結果、My Medipro、Medipro、に、数ある医療データベースと日々の話題をあわせて120種類以上の情報が存在します。そのほとんどは無料で利用できますが、特に価値が高い一部のコンテンツは、有料情報となっているものがあります。URLを(http://www.so-net.ne.jp/dir/health/meclical.html)を参考にしてください。

有料情報サービスとは?

役立つ医療・健康関連のコンテンツは、インターネット上でお金を支払う形で入手することができます。つまり「情報をオンラインで購入する」事ができます。Medipro内の有料情報コンテンツは、So-netの有料情報サービスというシステムの上で動いています。情報コンテンツを購入する場合、利用者は料金を支払うことを課せられるわけで、それを一般的にオンラインでの「課金」と呼んでいます。

So-netの課金システムでは、値段は月額制と件数課金制の2種類があります。サービスごとに課金システムの種類が異なりますので、その違いを理解した上で利用する必要があります。

なお、月額制というのは、毎月固定料金で使い放題になるサービスです。件数課金制というのは、一件ダウンロードしたり、1ファイルを入手するたびごとに料金が発生するシステムです。またクレジットカード支払いが原則ですが、個人でも法人でも申し込みが可能です。

 So-netの課金サービスは、共通のID,パスワードで利用できます。

前述した医療・健康関連の有料情報サービスは、いずれもSo-netの有料サービスなのでシステムは共通です。便利な点は、ひとつのサービスに登録すると、次のサービスを登録する時、同じIDと同じパスワードを入力するだけで済む事です。つまり初回登録を済ませてしまえば、次回の登録時には面倒な手続きを繰り返す必要がなくなります。ですから、医学情報コンテンツを、簡単に購入できるようになるわけです。

現在、日本における代表的な医療関連の課金情報サービスの多くがMediproからナビゲートされえるシステムに連結しています。つまり、ひとつの課金コンテンツを申し込めば、次のコンテンツの入手が可能になるわけです。こうしたインターネット環境を構築することこそ、利用者である医師や薬剤師などが情報を入手しやすくなる環境であるだろうと、考えました。それによって、医学情報の価値が高まり、広く多くの人たちに利用されるものになっていくのだと考えたわけです。

また、So-net接続会員であれば、So-net接続会員用のIDとパスワードだけを入力するだけで、医療以外の情報でも簡単に購入できます。商品の発注なども可能になるわけです。ですから、Mediproのような情報のGatewayを構築するというサービスをインターネット接続プロバイダであるSo-netが行うというのも、不自然ではないわけです。

IDとパスワードは秘密に

インターネットの世界では IDとパスワードは、個人を同定するための目印です。IDとパスワードさえあれば、有料情報が購入できるだけでなく、商品の購入もできます。ですから、パスワードは絶対に他人に教えてはいけません。パスワードを盗まれることはクレジットカードを落としたり盗まれることと同じことです。もしパスワードが漏出し、盗まれた危険を感じたらすぐに自分で変更してください。

 Mediproの場合、個人情報の機密性はSo-netが保証しています。トラブルが起きても、日本語で、電子メールはもちろん電話ででも対応しています。So-netは日本大手のプロバイダで、個人情報の機密性に対しては会社の威信をかけて守っています。プライバシーマークという認可も得ています。

これに反し、例えば、名前も聞いた事がないような、あやしげな会社に登録する時は注意してください。個人情報の機密性が守られずクレジットカード番号が横流しにされることもありえます。自分では購入したはずがないのに請求が来た場合には、インターネット接続会社とクレジットカード会社との両方にチェックします。外国のインターネット接続会社だと英語でクレームを言わなければなりません。大変なので、泣き寝入りということも少なくないようです。

コンテンツパッケージ構想

Mediproには、単独商品としての情報サービスが多く存在します。しかし、各サービスを利用するためには、各々のサービスに複数回、申し込み手続きを行わなくてはなりません。几帳面な利用者の方は、一つずつ申し込みをされています。しかし、一般の医療関係者にとっては、それが、大変に面倒な手続きと思われるようです。

 また、ひとつずつの情報コンテンツを、ひとつずつ購入すると、結局は合計の価格は高くなっていきます。単品購入の手続きごとに手数料がかかってくるからです。また、これらのコンテンツの中でも、あるグループには人気があるコンテンツと、そうでないコンテンツがあります。一般的な傾向としては、従来は医学部の図書館でしか利用できなかったようなサービスに人気があります。Medlineや医学中央雑誌は、インターネットが出現する前では、20万円から30万円のCD-ROMで発売されていました(図1)。それが、年に約3万円程度で利用でき、かつ、使い放題になるわけですから、価格としては、数十分の1以下になって、さらに利便性が高まったと言っても良いわけです。特に、My Medipro機能を利用すると、自分の専門領域の雑誌(複数)内で文献検索ができたり、キーワードをクリックするだけで検索できたりと、様々な角度からの検索が可能です。

また、辞典なども人気があります。これまでの紙による辞典は、本自体が大きすぎて重すぎて携帯できない、と言う問題がありました。

ですから、利用できる場所が限定されていました。また、分厚い辞典は、索引を使っても、目次を使っても知りたい情報を見つけにくかったのです。ですから、分厚い辞典や文献検索系のコンテンツが、インターネットの人気コンテンツであると考えていましたし、実際に利用者の数から考えても、そのような傾向は、顕著に表れていました。

単品ごとの購入は、煩雑であった

しかし、こうした情報サービスを日本で焼く4年間、続けてきたわけですが、実際のところ、医学情報コンテンツの販売成績は、芳しいものではありませんでした。その理由は、電話代が高いことや、登録の不便さがある点が指摘されます。また、使い回しをされる危険が高いことも、出版社が心配する悩みの種となっていました。インターネットにおいて情報を提供してしまうと、書籍やCD-ROMの売り上げを奪ってしまう心配があるために、代表的な情報コンテンツをインターネット向けに加工されにくいという問題がありました。こうした中、米国ではMDコンサルという会社が、代表的な医学系教科書を、一つの登録サイトにまとめた情報サービスを開始しました。(http://www.sunmedia.co.jp/mdconsult)(図2)。そして、そのサービスは、多くの米国医師の指示を得ていました。筆者は、米国を複数回、訪問し、米国の医師が利用しているインターネットの人気コンテンツは、MDコンサルトにある医学系教科書コンテンツと、Medscapeの学会サマリーであることを、1999年に知りました。そこで、MDコンサルと同じ視点に立ち、日本の代表的な医学系教科書をまとめた情報パッケージを構築できないか、と発想したわけです。

(http://www.so-net.ne.jp/medipro/package/index.html) (図3) 

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