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プラスαのインターネット活用術15

Medical Tribune 2000年5月18日 26ページ ©︎医学博士 鈴木吉彦

HTML言語の修得を演題応募やプレゼンテーションに活用

インターネットのホームページは、個人でも簡単に作る事ができます。多くの人たちは、ホームページを作るにはさぞかし高度な知識と技術が要求されるに違いないと考えがちです。しかし、実は非常に簡単なのです。ホームページの作成には、HTML(Hyper Text Markup Language)という言語の習得が必要なのです。これは、パソコンが不得意な人であっても、1、2日テキストを読んで勉強すれば、すぐに理解できる、非常に簡単な言語体系です。

 ポイントは、HTMLはタグ(tag)と呼ばれる指示記号による約束の書き方で構成されるということです。タグは目印という意味です。このタグで、テキストを囲んだり、テキストの中に挿入することで、ページを構成してます。

 例えば、

<B>練習です。</B>

とすると、「練習です。」が太字になります。また、

<title>タイトルを表示します。</title>

とすると、タグに挟まれた部分がタイトルであることを表します。

<BR>は、改行を意味します。

 こうしたタグは、ワープロで文章を書くのと同じように、パソコンのキーボードから打ち込みます。WWWブラウザーは、このタグの内容に従って、文字や画像を表示します。ブラウザーが<>で挟まれた部分を見つけると、タグであることを認識し、文字の大きさや色を変えたり、段落を変えたり、表を作ったり、画像を表示したりします。

 HTMLのタグは、このような場合には、このようなタグを付ける、というように具体的に決まっていますから、それを解説した本を書店で購入し勉強してください。

 演題の応募もインターネットで

 学会の演題の申し込みをインターネットによる投稿方式を採用する学会が増えてきました。その場合、通常は、その時にHTMLのタグを知っておく必要はありません。しかし、実は修飾文字をつけなくてはいけない場合があります。例えば、H2OやCa2+などの場合です。これらは、

H<small>2</small>O,Ca<fontsize=-1><sup>2+</sup></font>

と記載します。

 このように、学会活動において、HTML言語の基礎知識が必要となってくるのです。医療関係者だから、HTMLは知らなくていい、などと思ってはいけません。HTML言語は、普通のパソコンのプログラム言語というような専門家でなければ理解できないような言語ではありません。中学や高校の授業ででも教えても構わないようなレベルの、文章作成の基本的な約束です。将来は、現代人の一般常識の1つとなっていくことでしょう。

 学会発表にも有用

 ホームページには、クリックすると次のページに変わるという機能があります。これは、ハイパーリンク機能と呼びます。この機能があるからこそ、ホームページは、画期的な進歩を遂げたわけです。昔は、こうした機能をプログラムソフトに搭載するだけで、高額なプログラム制作費がかかりましたし、素人では難しい技でした。ところが、今では、

<ahref=>

というHTMLのタグを理解するだけで、簡単に機能を搭載できるのですから、驚きです。

 さて、パソコンに、このハイパーリンク機能が付いたことで、医学分野においても、今後のプレゼンテーションのあり方が大きく変わるのではないかと予測されます。 

 例えば、現在、学会などの発表ではスライドによる映写が普通ですが、スライドは1枚が終われば、必ず次の1枚に移動せざるをえません。元に戻る時も、前の1枚に必ず戻って、順を追わなくてはなりません。

 ところが、ハイパーリンク機能を利用できれば、あるプレゼンテーション画面から、どの画面にでも、自由に移動する事が可能になります。プレゼンテーションが、きわめて動的な形になるわけです。1つの症例検討などをする場合のように、さまざまなデータを見比べながら検討していく、という状況でのプレゼンテーションには、これは、大変に便利な機能になるでしょう。

 将来はパソコンからの投射が普通に

 プロジェクターが高性能化し、年々、安くなってきています。ですから、近い将来、学会でも、従来のようなスライド方式はやめて、パソコンから直接、投射する形でのプレゼンテーションが普通になる時代が来ることでしょう。ブルーバックのスライドがなくなり、今はカラースライドの時代に切り替わったように、こうした変化は、瞬く間に広がっていくだろうと思われます。そうなると、HTML言語を理解し、ホームページを作り、ハイパーリンク機能を駆使したプレゼンテーションというのは注目されるに違いありません。

 さらに、そこには、GIF画像やQuickTimeなどの動画画像を入れることにより、ダイナミックなプレゼンテーションを可能にします。ビデオを映すという旧来の方法は不要になってきます。HTMLの利用を通じて医学の世界にも、必ずやこうした影響が及ぶことは間違いないと思われます。

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