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ドクターのためのインターネット講座 第21回

第21回 電子メールに関する危険な点

MEDIAPEX インターネット進化論 2000年2月15日 第213号 ©鈴木吉彦 医学博士

信頼できない人にはプライバシーを公開しないことが大事

インターネットの利用が広がると、商品の売り込みなどを目的に、一方的に発信される電子メールが増え、問題になっています。こういう電子メールは、「スパム」と呼ばれます。なお、ジャンクメールは、スパムの一種です。

 インターネットは便利なのですが、電子メールについては、プライバシー保護の問題は重要です。最近では、名刺に電子メールアドレスを記載している人が増えています。でも、それがリスト会社に流出すれば、「スパム」メールの受信を増やしてしまうかもしれません。沢山の名刺を、複数の人にわたす時には、誰がリスト会社に売り渡したのかも、チェックできません。こういう場合には、プライベートの電子メールアドレスと、仕事上のアドレスと分けて入手しておくしかないかもしれません。しかし、それもチェックする手間を考えると面倒です。

 いまのところは、電子メールをもっている人が少ないので、渡しておいても害にならないという気がします。しかし数年のうちに、インターネットをほぼ全国民が利用するような電話のような存在になった時、電子メールアドレスを秘密にしておきたい場合が増えてくるのではないかと思います。

 なお、自宅の電話番号は個人の秘密としている人が多いのですが、電子メールのアドレスは、人にすぐ教えてしまうことも多いようです。電子メールをもらうことがうれしい、というインターネット初心者の方はなおさらです。

 また、以前はMRの名刺に電子メールアドレスを表示することを禁止していた製薬企業も、医師側からのニーズの高まりで禁止を解除したという例もあります。

 このように、時代の流れは、どんどん医療関係者の電子メールアドレスを公開してしまう方向へと進んでいます。

プライバシーの守りかた

電子メールにおけるプライバシーは、どうやったら守られるのでしょうか?これは利用者が、プライバシーという意味合いをどの程度までと考えるかによって異なると思います。インターネットで、うろうろしてるSnooperという連中は、他人のメールの内容を見るために、不正行為でインターネット接続業者のサーバーに侵入し、電子メールのプライバイシーを盗もうとしています。

 しっかりしたインターネット接続プロバイダーでは、こうした連中を排除するよう、日夜、管理体勢をしいています。しかし、いったん電子メールアドレスを知られてしまっては、電子メールを送るな、ということを相手に守らせる方法はないのです。Snooperが、あるいは悪徳業者が送りたければ、いつでも送れてしまうのです。

電子メールを使ってウイルスに感染させられる

ウイルスが入りうるのは、バイナリファイルと呼ばれるデータを持つファイルです。あるいは、マクロと呼ばれる機能の中にも、入れます。それらのファイルを電子メールで受ける時には注意が必要です。

 もしウイルスが、病院のシステムに進入したら大変なことになります。病院の機能が麻痺したら、生命の危機にさらされてしまう患者さんもいるでしょう。

 また、相手側のパソコンに入って遠隔的にそのパソコンを操作してしまうウイルスがあります。電子メールで病院内のパソコンに侵入し、そのパソコンから自分あてにメールを出して、パソコンの情報や、個人情報を盗むのです。さわっていないのにパソコンが動きだし、大事なファイルを捨ててしまったり、患者さんの個人情報をインターネットに公開させてしまうこともできるかもしれません。このようにして患者さんのプラバシーは、ウイルス・ハッカーにより漏れてしまいます。

 こうした事態を防止するには、⑴ウイルスチェッカーをいれる、⑵知らない人からきた添付ファイルは絶対に開かないーという2つの注意も大事です。

なお、最近では、添付ファイルを開かなくても、感染するというウイルスも発見されて、今後、大きな社会問題を起こすと考えられます。

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