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第7回 学会のハイライトをMediproから入手する

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第7回 学会のハイライトをMy Mediproから入手する

医療とコンピュータ (株)日本電子出版 Vol.12 No.5 2001.5 ©鈴木吉彦 医学博士 

My Mediproにおけるメール配信サービスを活用し、海外の国際学会において医学系出版社が取材したハイライトニュース、あるいは、カンファレンスサマリーを、メールあるいは、HTMLで情報発信をする、というサービスがあります。

製薬企業がスポンサーとなって、出版社が海外に取材するべきライターを派遣し、その内容がサマライズされて、My Mediproの会員にターゲットを絞って発信されるというサービスです。実務の運営主体は、医学系出版社ですが、医学系代理店が企画し、全体をカバーし、コーディネートするという役割を果たす場合もあります。

このサービスは、米国糖尿病学会で、Medical Tribune(アクセルシュプリンガー社)が出版社、スポンサーがノボノルディスク社、という形で開始されました。会場は米国のサンジエゴで 1999年6月19日〜22日に行われました。ノボノルディスク社のMRさん達が 糖尿病の医師などを中心にサービスコードを配布しました。この時、多くの糖尿病の医師から、まずは、サービスコードをもらってみようという動きができて、MRさん達は大慌てになったと言います。医師から声がかかって、サービスコードを欲しいと要求されたのだけれども、当時は、サービスコードの意味が、日本全体に拡がっていなかった時代ですから、MRさんとしても、その理解に苦しんだと言います。しかし、みなさんの地道な協力を得ることができて、My Mediproには、ノボノルディスク社のサービスコードをもつ会員が増えていったのです。

そして、実際に、米国糖尿病学会には、私も、最初の実験における監修者となり、取材しました。本当に最初の実験ですから、ライターの仕事も一部、経験してみました。

現場での作業は、とても大変なものでした。学会によっては、デジタルカメラでの取材を許可してくれない場合もあることを初めて理解しました。その為、ポスターなどは、演題の詳細を解説した用紙が用意されていて、それを入手しなくてはいけません。人気があるポスターでは、用紙がすぐに無くなってしまうので、その資料を入手するだけでも大変な作業だったのです。また、口演については、内容は理解していても、やはり、後になって、それに対して筆を落とすとなると、記録をどうしても残しておきたくなります。そこで、記録をとるのに苦労しながら、同時に内容を理解しながら、という形で聴講したものでした。

さらに、Medical Tribuneのサービスにおける特徴としては、米国の学会発表から24時間以内に、日本でHTML化し、かつ、メール配信として配布する、というコンセプトがありました。ですから、そのの口演が終了しだい、すぐに、ホテルに戻り、そこで無理矢理、睡眠をとり、夜中の2時に起きるというDutyを課せられるわけです。日本時間の時差 が、体内に残っているので、夕方に寝るというのは、さほど無理でもないのですが、熟睡しておかないと、翌日の日中の口演を聴講している間に眠くな ります。ですから、強制的に睡眠をとるのも、大変な苦労でした。

Medical Tribune社の優秀なライターの皆さんとの協力もあり、取材は順調に進み、完成した内容は、スポンサーのノボノルディスク社にとっても、そして、ライターにとっても、満足のいく内容でした。そして、緊張感の中、 最初の学会ハイライトニュースのメール配信がなされたのが、日本時間の翌日の朝という設定でした。

評価は、どうなるのだろう、と心配していましたが、驚くほど高い評価をいただきました。学会終了後、アンケ-ト結果では、ほとんどの方が、役に立った、有用性が高い、と評価していました。次回も同サービスを受けたいと回答していただいた方は100%でした。また、ニュースの演題数をもっと増やしてほしいという希望も多く、大反響がありました。

スポンサー製薬企業でありノボノルディスク社も、日本で最も早く、学会ハイライトを医師に届けたことは、社会的に高い評価を受けたということで、喜んでもらえました。また、サービスコードを求める医師や薬剤師が急増したのも、着実な成功の裏付けとなりました。

ホームページのアクセス数については、学会開催中、日々、増加していました。学会が終了しても、約2週間は訪問する人が続いており、じっくり閱覧しようとする人も多くいたことが分かります。その意味からも、電子メール配信だけでなく、ホームページにおいても情報を公開しておくことの必要性が示唆されます。

このように、学会ハイライトの全文を電子メールで配信するという試みは、利用者に満足度の高い試みであることがわかりましたが、検討課題としては、協賛会社を増やし演題数を増やすこと、また、糖尿病に限らず、より多くの医療分野にこの企画を展開させていくことでした。

その後、この学会ハイライトサービスは、武田薬品とノボノルディスク社とが協力して行うサービスとなり、 定評のあるサービスとなってきています。歴史としても、3年目を迎えています。また、最近では、ASPENやACCを、 味の素ファーマ社がMedscapeをベースにした学会ハイライトサマリーとして、ASPENやACCは医歯薬出版社が取材した内容として、また、Medical Tribune社のサービスは武田薬品やノボノルディスク社のサービスとして、広く行われるようになりました。今後も、いろいろな製薬企業が、複数の組み合わせで、いろいろな協賛会社となり、また、複数の医学系出版社も、同様のサービスを始めることにより、インターネット上には、多くの学会レポートが集まることになるでしょう。また、Medscapeのハイライトについては、日本最初の試みとして、しっかりした書籍という形で配布されることになっています。日本語を英語に対訳的につけて理解できる本としては、画期的な書籍になる予定です。

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