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プラスαのインターネット活用術4

Medical Tribune 2000年2月24日  ©︎鈴木吉彦 医学博士

他の患者の体験を知る ケースバイケースを実感

現段階ではインターネットで個別的な治療は行えないから、インターネットは利用価値が低いか、というとそうではありません。患者はインターネットで患者同士の交流の場、あるいは医師が患者のために設けた情報交換の場を利用して多くの他の患者の体験を間接的に知る事ができます。また、患者が健康書では理解できなかった事でも、他の多くの患者たちの実体験を知れば、いろいろな重症度があり、いろいろな治療があることがわかり、診断や治療はケースバイケースであることを実感する事ができるわけです。

 それによって、病気で悩むのは自分だけではない、同じようなケースの人もいる、自分より病気が重い人も軽い人もいる、ということも実感できます。つまり、病気と闘うということに対し、より客観的に考えられるようになるのです。

 その結果、患者が陥りやすい、迷信のような噂にも巻き込まれにくくなるでしょう。自分だけの思い込みで信じていた事が、非科学的であることを知ったりして、反省したり、判断を変えるきっかけになるかも知れません。そして、さらに多くの情報の中から、より自分に合った情報を探しに行こうという意欲も出てくることでしょう。

つまり、インターネットでは、医師が患者一人ひとりに合った個別的な治療指針を作り出し、提供することはできませんが、患者自身は自分に合った治療の可能性を探り、客観的な判断材料を探し求める事ができるという点では、メリットが非常に大きいのです。

また、医師も、インターネットのホームページから自分の専門分野以外の患者に触れ、その実態を知る事ができます。ケーススタディとして勉強になることも多いです。

特殊なオピニオン「インターネット・オピニオン」

インターネットによって患者が得る知識や意見は、医師からもらう「診察による診断や意見」、「セカンド・オピニオン」と異なります。

つまり、会ったこともない医師からの助言をもらうわけですから、ときには全く的を射ていない回答であることもしばしばです。

患者にとって助言をもらえるのはありがたいとしても、その助言者がどのような地位や立場の人かわからない人ばかりですから、不安はいっぱいです。仮に親切な回答であっても、実は、そのアドバイスは、治療にとって効果がないものだったり、ときには害になる情報だったりするかも知れません。

早く病院に行って治療が必要なのに、間違った情報によって、とんでもない療法を勧められ病状を悪化させてしまうということも、ないとは言えないでしょう。

 とんでもない宗教や信仰を持つカルト的な団体が診療所を作り、その院長が独善的な治療を進めてくるかも知れません。

「○○はがんに効く!」などといった詐欺まがいの情報を流された、信じたが最後、その信仰団体への加入のきっかけにされてしまうかも知れない、などの危険もあります。

ですから、インターネットからえられるオピニオンというのは、いわゆる「セカンド・オピニオン」とは別種のものと考えるべきものです。これまでの社会ではあまり見かけなかった、特殊なオピニオンを得る場なのです。

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