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ドクターのためのインターネット講座 第1回 

第1回 インターネットとは?

MEDIAPEX インターネット進化論  1999年4月 第192号 ©︎鈴木吉彦 医学博士

インターネットは、爆破的な勢いで成長しつつある情報の道具です。その影響はさまざまな情報活動分野に影響を及ぼし、第3次産業革命や、江戸時代の黒船来航に例える人もいるくらいいです。インターネットにより情報の流れや質が変わり、文化、産業などあらゆる分野に影響を与えています。しかし、この技術を有効に生かし、正しく利用していくのは、たやすいことではありません。最近では、インターネットを利用した犯罪なども増え、この技術を社会にどう役立てていくか、これから議論されるべき点も多くあります。

テクノロジー分野で利用が広がっているインターネット

 インターネットの利用が望まれる分野、というのは、まさしくテクノロジー分野、あるいはビジネス分野です。インターネット先進国のアメリカでは、1997年におけるインターネットへの広告投資額は、Business, technology分野で401%,games,toys, hoppycraft 342%, Retail 290%、Financial 286%, Local anmusements/services267%の伸びを示したという報告があります(Anne R.Carey and Bob Laid, USAToday)。インターネットは、世界に通じる情報伝達媒体であるため、世界を視野に入れた技術分野での応用が、真っ先にその利点に着目し応用が広がったのではないかと考えられます。

医学分野におけるインターネットの利点(その1) 

医学分野におけるインターネットの利用も急速に拡大しつつあります。医学は世界中が共通して抱える研究テーマです。診断や治療に関する情報は世界中から収集すべき分野であります。言うまでもなく、海外医学雑誌の文献検索エンジン (medlineなど)は広く利用され、最新の医学情報データベースが日常的に利用されています。また文献検索に限らず、辞書やニュースなどでも広域分散型データベースを調べるに、は、インターネットは、大変に威力を発揮できます。海外の人たちとの共同研究をする時も時間差を感じず作業ができます。学会の演題登録システムも能率化がはかれます。循環器学会や糖尿病学会がインターネットを採用し成功を納めています。このように、今やインターネットは臨床や研究の必需品といっていいほど、応用が実際に行われています。

医学分野におけるインターネットの利点(その2) 

インターネットは医師にとって、情報入手に対する従来型のパターンの常識をくつがえす技術ということもできます。従来、医師は診療時間帯に、診療所を空にして外出することができませんでした。ですから、好きな時に、書店にいって本を買うことも大変でした。物理的に、自分から情報を探す、という行動に対し制限がかけられていたわけです。

これに対し、インターネットは、そうした垣根をとりのぞいてくれます。医師は診療時間だろうとなかろうと、いつでもどこからでも必要な情報をインターネット上にさがしにいくことができます。これは、医師自身の情報収集に対する意欲を高め、個々人の判断力を高めます。多くの資料から判断できる機会が増えるため、より客観的な判断ができ、EVIDENCE に基づいた医療(EVIDENCE BASED MEDICINE)を推進するでしょう。

インターネットの持つ特徴 

では、インターネットとはどのような特徴をもつ技術なのでしょう。本紙の読者の方々に

は、インターネットについて知識を持たれてない方も読者におられると思います。そのため、

本連載を始めるにあたり、簡単にインターネットの特徴について整理しておきます。

インターネットを利用すると、

1 ) 情報の発信と受信が双方向性で、誰もが自由に情報を交換できます。 

2) 静止画のみならず、動画、音声、音楽、プログラムファイルなども情報として交換できます。テレビ電話、テレビ会議なども可能になり、ファクスや電話よりも、多くの情報を伝達できます。

3) 膨大な情報を扱え、膨大なデータベースから検索が可能になります。

4) 商業取引きも行えます。アメリカではインターネットを使ったオンラインショッピングが普通に行われています。

5) 雑誌などに比べて、宣伝広告費は安価になります。また、雑誌よりも、効率よく、早く 、相手に情報を伝えることができるようになります。  

6) データの更新、変更、複製、DTPなどは簡単です。従来、プロしかできなかった編集技術なども、ある程度、個人レベルでできるようになります。 

7) 取引が中間を介せず、利用者や消費者へ直接、情報を提供できるようになります。

8) 世界中の人と、ほぼ市内通話料金で通信が可能で情報交換を行えます。 

9) 異なるコンピュータやOS(コンピュータ言語)も関係なく使えるようになります。 

10) 素人でも、簡単にプログラムをつくれるようになります。 

などです。これからの連載では、こうしたインターネットの特徴が、具体的に医学の分野で貢する形にしていけるのか、そうした点について詳しく解説していきたいと思います。

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