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プラスαのインターネット活用術18

Medical Tribune 2000年6月8日 40ページ ©️医学博士 鈴木吉彦

学会の活動や最新情報もインターネットで投稿論文の審査状況も入手可能に

 海外の医学雑誌に投稿すると、編集部からの連絡は、まず電子メールで送られてくることが増えてきました。その後のやり取りも電子メールが中心になります。しかし、論文がアクセプトされたときだけ、ファクシミリや郵便でアクセプト確認の手紙が送られてきます(糖尿病分野では、Diabeto-logiaなど)。過去の論文がin pressであることを証明するためには、電子メールでは不十分で、印刷物であることが必要だからでしょう。

論文審査の迅速化に好影響

 米国糖尿病学会(ADA)の場合には、もっと便利なシステムがあります。DiabetesやDiabetes Careなどの医学雑誌へ投稿すると、やはり電子メールで確認が届きます。そして、さらにその後、投稿論文が、どの審査のステップで止まっているかをADAのホームページ上で確認することができます。例えば、審査委員の段階で止まっているかをADAのホームページ上で確認することができます。例えば、審査委員の段階で止まっているのか事務局の段階で止まっているのか、再審査になっているのかどうか、などです。

 だれの論文か特定はできませんが、他人が投稿した論文の状況も見られます。どのくらいの難易度で、論文がアクセプトされるのかどうかもチェックできます。さらに、いつ投稿した論文は、いつ審査を終えるのかなど、他の論文と自分の論文の審査される速度を比較し、自分の論文は審査に手間が掛かっているのかどうか、なども判断できます。

 このシステムは、素晴らしいので、ぜひ、日本の多くの医学会事務局でも採用して欲しいと思います。これが実現すると、審査委員の先生たちは、うかうかしてはいられなくなります。審査を遅らせていることが公然となってしまうからです。もちろん審査委員の名前は伏せられますが、他の審査委員と比べて、あまりに審査のプロセスが遅ければ、投稿者からクレームが出るはずです。クレームが来るのは誰でも嫌ですから、審査の速度を速くせざるを得ないでしょう。そうなれば、投稿論文が、どんどん審査されます。良い内容の論文は、内容がフレッシュな状態で、雑誌に掲載されます。学問的には大きな貢献になり、投稿者の意欲も高まるでしょう。

 海外の学会雑誌では、そのうち普通になるでしょう。既に、インターネットによる学術集会の演題登録を行なっている学会であれば、多くの参加者は電子メールアドレスを持っているでしょうから、問題は少ないでしょう。さらに、日本の医学会でも、ポスターの下に、あるいは演題登録画面に、自分の電子メールアドレスを記載する人が増えてきたようです。これは、発表者に対して、学会終了後に連絡を取りたい、質問をしたい、という場合に有効です。資料を取り寄せたりすることも簡単にできるでしょう。しかし、今後は、個人情報の一部として電子メールアドレスを集め、リストとして売買する悪徳業者が出てくるかもしれません。その意味では、学会員の個人情報のセキュリティについて、学会側が配慮する必要があるでしょう。

各社のホームページへ案内

 MyMedipro(http://www.so-net.ne.jp/medipro/login.html)の学会コーナーでは、多くの医学・医療出版社が収集した情報を整理して見ることができます。また、日本コンベンションサービスなどの学会運営を専門にサポートする会社からのサービスの提供もあります。英語などの翻訳も手伝ってもらえます。

 さらに、MyMediproの配信サービスとして、医学書院、JAMIC、Medical Tribuneなどに掲載されているホームページをメールで紹介し、各社のホームページへ案内しています。MyMediproのプロフィール欄にある「学会・セミナー関係」という項目を「はい」に設定しておけば、毎月初めに電子メールで上記の内容を含む情報が送られてきます。また、今後は、製薬企業の多くが海外の学会の最新情報をいち早くメールで配信するなどのサービスにインターネットを活用していくことでしょう。

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